今回は、パソコンで利用可能なカメラの比較と、カメラを用いた顔認証システムの進化について説明したいと思います。

パソコン用カメラの比較

パソコンで利用するカメラは、ノートパソコンなどに内蔵されているカメラと、USB 端子に接続して利用する外部接続用カメラに分かれます。
ビジネスの場では、主にオンライン会議用途として利用されますが、Windows Hello 用に赤外線カメラ(IRカメラ)を備えているものもあります。

これら一般的なウェブカメラと IRカメラについて比較したいと思います。

ウェブカメラ

可視光線を利用して人の目に見える光をレンズに集め、イメージセンサーを通し電気信号に変換することで画像を生成します。白黒、カラーに対応していますが、通常はカラー画像です。

<用途>
● ビデオ通話、オンライン会議
● 動画撮影、ライブ配信
● 写真撮影
● 監視(明るい場所での利用)
● 顔認証(フォーカス機能など不要)

【参考】
富士通FMV パソコン活用情報
BUFFALO Webカメラ商品ラインナップ

IRカメラ(赤外線カメラ)

IRカメラの「IR」は「Infrared(下)」と「Red(赤)」からきており、赤外線カメラともいわれています。人間の目では見えない「赤外線」を利用して物体を捉えます。
IRカメラを搭載したパソコンが増えてきているのは、Windows Hello の顔認証を使用するには IRカメラが必要だからです。

ノートパソコンに搭載されている IRカメラは、カメラの近くにランプがあり点滅します。
(下図はランプが2個ある例)

ウェブカメラと IRカメラのメリット・デメリット

完全な暗闇での撮影などでは赤外線を使った IRカメラの方が有利となります。
以下にウェブカメラと IRカメラのメリット、デメリットを記します。

ウェブカメラによる顔認証

DDS が提供する顔認証では、セキュリティ対策としてなりすまし対策に力を入れています。
ウェブカメラを用いた顔認証は安価に導入できることが特徴ですが、本人の写真などをカメラにかざすことで認証できるケースがあり課題でした。この対策として、横を向いたり、まばたきするといったアクションを加えてもらうことで、写真ではないと判断するものがあります。

横向き判定、まばたき判定によるなりすまし対策

認証対象者のアクション(動作)を入れることで、カメラに映る人が写真ではなく人間であるとみなして顔認証を行います。

顔を矢印の方向に向けるように指示し、その動きを確認しています。

デメリットとして、指示に従い顔を横に向ける、まばたきをするといったアクションは、人によって動かし方やカメラが起動するタイミングに合わせて準備する必要があり、画面の指示に合わず、認証しにくいという問題がありました。そこで、人に動作をさせずになりすましを防ぐ技術が望まれるようになりました。

顔をかざすだけのなりすまし対策

画面の指示に従ってアクションを行うなりすまし対策は、認証対象者に動きを求める点が負担になってしまい導入には検討が必要でした。
このような問題を解決するために、本人の写真で認証ができてしまうという問題そのものに対応した技術が開発されています。

写真の顔は検出しないため、顔の領域を囲む四角い枠が表示されない

カメラに本人の写真や動画を見せても偽物と判断し、認証させないという技術です。認証対象者に対して、難しいアクションを求める必要もなく、なりすましを防ぐことができます。

IRカメラを利用したなりすまし対策

DDS はウェブカメラ(Windows Hello 対応カメラ(IRカメラ搭載)でもウェブカメラとして機能します)を利用した顔認証を提供しています。比較的暗所であっても認証は行えますが、暗所でも撮影できる IRカメラのメリットはまだ活かしきれておらず課題ではあります。
しかしながら、このたび、DDS の独自技術で IRカメラとウェブカメラを併用して認証を行うことで、IRカメラを使ったなりすまし対策を行うことを可能としました(2025年5月リリース予定の「多要素認証基盤 EVEMA」に搭載予定)。

IRカメラは赤外線を利用して撮影することから、スマートフォンに映った顔は認識せず、顔写真によるなりすましを防ぐことが可能になります。

左:ウェブカメラ、右:IRカメラの撮影画像の比較

認証情報のサーバー管理

DDS の多要素認証システムは、認証サーバーで顔情報を管理しているため、管理者による一元管理が可能で、ユーザーが利用するパソコンが故障した場合でも、パソコンを取り替えるだけでよく、顔の再登録を行わずに継続して顔認証が利用できます。

Windows Hello でも顔認証が利用できますが、顔情報はそのパソコン内に保存しているため、管理者による一元管理ができません。デスクトップ利用と持ち出し利用でパソコンが変わる場合や、故障などでパソコンを取り替える場合は、それぞれのパソコンで顔を登録しなおす必要があります。

まとめ

Windows パソコンでは、Windows Hello での顔認証も想定し、比較的高価ではあるものの IRカメラを搭載したパソコンも増えつつあります。ただし、前述の通り Windows Hello では運用に合わないといった声も多く、またどんな場所でも認証を行いたいというご要望もよく耳にしています。このようなユーザーの利用シーンに合わせ、DDSの多要素認証製品は日々進化していっています。

 

※記載の製品名は、各社の商標または登録商標です。