マイナポイント事業の効果で、マイナンバーカード新規取得者が拡大しています。本人確認書類になったり、コンビニで各種証明書が取得できたり、健康保険証としても使えたり、オンライン行政手続きもワンストップでできるようになりました。
また、マイナンバーカードには民間事業者向けに公的個人認証サービスが提供されており、電子証明書機能が搭載されています。
今回は、マイナンバーカードの活用例や、カードを利用した端末のログオン認証についてご説明いたします。

マイナンバーカードとは

はじめに、マイナンバーとは、行政を効率化し国民の利便性を高め公平公正な社会を実現する社会基盤で、住民票を有する全ての方に1人1つの番号をお知らせして、行政の効率化、国民の利便性を高める制度です。

マイナンバーカードとは、マイナンバーが記載された顔写真付のICカードのことです。氏名、住所、生年月日、性別、マイナンバーと本人の顔写真等が表示されます。
また、電子証明書機能が搭載されており、インターネット上での個人認証にも利用することができます。この機能を活用することで、オンラインでの行政手続きや銀行取引などが円滑に行えるようになっています。

マイナンバーカードの活用例

マイナンバーカードには、マイナンバーのほか、民間も含めて幅広く利用が可能な電子証明書ICチップの空き領域が搭載されています。これらを利用して、民間事業者でも、マイナンバーカードを活用することが可能です。

行政手続き

マイナンバーカードを利用することで、e-Taxやマイナポータルを通じて、税務申告や納税が簡単に行えます。マイナポータルとは、マイナンバーを持った国民が利用可能な、政府が運営するオンラインサービスです。マイナポータルには、国民年金や健康保険、介護保険などの社会保険料の支払い状況や、納税状況が記録されています。そのためオンラインでの行政手続き、自身の情報確認、行政機関からのお知らせ受信などのサービスが受けられます。

健康保険証としての利用

健康保険証としてマイナンバーカードを利用できます。マイナンバーカードを使って医療機関等を受診した際に、過去の診断結果や処方内容をもとに適切な診察や処方を受けることができます。また、マイナポータルから過去の記録を参照して、簡単に医療費控除申請の手続きができます。

新規口座開設時の本人確認

新規口座開設の際に、マイナンバーカードのICチップに含まれる、電子証明書の情報を利用して、本人確認を行うことも可能です。

住宅ローン契約手続きのオンライン化

マイナンバーカードを利用することにより、自宅のパソコンからオンライン上で、本人確認、電子署名が可能となります。

入退室の管理

一部の行政機関などでは、施設の施設の入退室の管理、管理者の識別にマイナンバーカードを利用しています。

端末へのログオン認証

一部の行政機関では業務端末のログイン時の認証にマイナンバーカードを利用しています。総務省「地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」に示される二要素認証にも対応し、セキュリティの向上が可能です。

※マイナンバーカードのICチップに搭載された電子証明書を利用して民間事業者が公的個人認証サービスを利用できる仕組みは、国管轄の 地方公共団体情報システム機構(J-LIS)により運営されており、高レベルのセキュリティや信頼性を備えています。

端末へのログオン認証機能について

端末へのログオン認証にマイナンバーカードを利用する方式は、以下の2つに分類されます。

利用者証明用電子証明書を利用する方式

マイナンバーカードに搭載されている利用者証明用電子証明書を使う方式です。
カードリーダーにカードをかざし、カード作成時に登録したPINを入力することで、利用者証明用電子証明書が取得できますので、この情報で本人認証を行います。マイナンバーカード1枚で、所持認証(カード)と記憶認証(PIN)の二要素認証を実現しています。
認証時には利用者証明用電子証明書の失効情報と照らし合わせて、カードが失効されていないか確認する必要があります。
(電子証明書の有効期限は、安全性・信頼性を維持するため、発行の日から5回目の誕生日までとされています。)

マイナンバーカードアプリケーション連携システム(カードAP連携システム)を利用する方式

カードAP連携システムを利用することで、マイナンバーカードの空き領域(拡張利用領域)が利用できるようになります。空き領域に独自の利用者識別用IDを登録することにより、カードリーダーにカードをかざすだけで本人認証することが可能になります。
なお、拡張利用領域を利用するには、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」の規定により、条例の制定が必要となります。

まとめ

マイナンバーカードの現状についてご紹介しました。2022年10月13日に河野デジタル大臣が「デジタル社会を作っていくうえで、マイナンバーカードはいわばパスポートのような役割を果たすことになる」と発言しました。ポイント還元でとりあえず申し込んだという方も多いと思います。

マイナンバーカードは個人的な使用方法以外に、カードに搭載されている機能によりビジネスにおける認証サービスの1つとして活用することもできるのです。
マイナンバーカードは二要素認証の「所持情報」として1要素になりますので、他に「生体情報」(指紋・静脈・顔など)、「知識情報」(パスワード、秘密の質問など)と組み合わせて、認証面のセキュリティを強化することが可能です。

これを機に、システム管理者はマイナンバーカードの有効活用をご検討いただければと思います。