IT資産とは、組織や企業が所有するハードウェアやソフトウェア、ライセンスなどを示しますが、IT資産を正しく管理していないと、セキュリティインシデントにつながる可能性があります。
今回は、企業におけるIT資産の種類、正しく管理できていない場合の課題、管理を行うためのツールについて触れてみたいと思います。

IT資産とは

企業におけるIT資産は、多岐に渡ります。目に見えてわかるデバイスだけでなく、デバイスにインストールされたOSや、業務で利用しているシステムやサービスなどのライセンスも忘れてはなりません。
では、IT資産の種類を見てみましょう。

ハードウェア

コンピューター(デスクトップ、ノートパソコン、サーバーなど)
ネットワーク機器(ルーター、スイッチ、ファイアウォールなど)
ストレージデバイス(ハードディスク、SSD、ネットワークストレージなど)
プリンターやスキャナーなどの周辺機器

ソフトウェア

オペレーティングシステム(Windows、macOS、Linuxなど)
アプリケーションソフトウェア(Microsoft Office、Adobe Creative Suiteなど)
データベースシステム(Oracle、MySQL、Microsoft SQL Serverなど)
セキュリティソフトウェア(ウイルス対策ソフト、ファイアウォールなど)

ネットワークリソース

ネットワークインフラストラクチャ(LAN、WAN、Wi-Fiなど)
ネットワークサービス(DHCP、DNS、VPNなど)
インターネット接続(回線契約、ドメイン名、IPアドレスなど)

データ

クライアントデータ(顧客情報、取引履歴など)
社内データ(文書、スプレッドシート、プレゼンテーションなど)
バックアップデータ(重要なデータのバックアップコピー)

クラウドリソース

クラウドベースのアプリケーションやサービス(SaaS、PaaS、IaaSなど)
クラウドストレージ(Google Drive、OneDrive、Dropboxなど)

ライセンス

ソフトウェアライセンス(オペレーティングシステム、アプリケーションなど)
クラウドサービスライセンス(サブスクリプションベースのライセンスなど)

IT資産の課題

IT資産には、以下のような課題が考えられます。

IT資産の追跡と可視性

企業が多様なIT資産を保有する場合、これらの資産を正確に追跡し、可視性を確保することが困難になります。特に複数に拠点がある場合や、複数のクラウドサービスを利用する場合に、追跡や管理がますます困難になります。

ライセンスコンプライアンスの問題

ソフトウェア、クラウドサービスを利用するにあたり、ライセンスが必要になります。
ライセンス管理を徹底できていないと、違反となるオーバーライセンス、未使用ライセンスの無駄遣い、ライセンスの更新忘れが発生する恐れがあります。

セキュリティリスク

無効なユーザーアカウントや未更新のソフトウェアは、悪意のある攻撃の対象になる可能性があります。
また、日々の業務で蓄積された「データ」もIT資産と言えますが、この情報が漏れ出してしまった場合に、多大な損害が発生します。

多様な環境と技術

組織内にはさまざまなハードウェア、ソフトウェア、クラウドサービスなどが存在し、それらを統合的に管理する必要があります。異なるプラットフォームを1つに統合させることは複雑であるため、一貫性のある管理が難しい場合があります。

IT資産を管理するツールとその主な機能

企業や組織が所有するIT資産を効果的に管理するためのソフトウェアツールとして、IT資産管理(ITAM)システムがあります。「ITAM〔アイタム〕」は「IT Asset Management」の略です。ITAMシステムは、IT資産を追跡、管理、監視することができ、主に以下のような機能があります。

資産管理

組織のIT資産を追跡し、所有者、使用場所、使用状況、およびメンテナンス履歴などの詳細情報を閲覧表示します。

ソフトウェア管理

組織のソフトウェアライセンスを監視し、ライセンスコンプライアンスを確保し、余分なライセンスを削減するために使用されます。

資産ライフサイクル管理

資産の取得、使用、保守、および廃棄の全体的なライフサイクルを管理し、企業や組織内のIT資産管理を改善します。

資産セキュリティ

OSやアプリケーションに対して、最新のセキュリティパッチを配布することで、IT資産を常に安全な状態に保つことができます。また、製品によっては、不正なソフトウェアの使用を検出したり、不正アクセスを警告するなどの機能も提供できます。

コスト管理

IT資産の使用状況を分析し、資産の使用量を最適化し、コストを削減するために使用されます。使用されていないIT資産を特定し、削除することで、無駄なコストを削減することができます。

まとめ

今回は、IT資産管理についてまとめてみました。
ITAMシステムを導入することで、組織はIT資産を効果的に管理し、コスト削減、可視性の向上、コンプライアンスの確保、資産セキュリティの向上などの利点を得ることができます。企業にとって、ITAMシステムは非常に便利で、重要になると予想されます。

 

※記載の製品名は、各社の商標または登録商標です。